アファメーション9 ルイーズ・ヘイのパワーカード
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「そんなに泣かなくていいよ」
彼が光を集めて鏡を作ると、そこには…
「君は目も少し不自由だったんだよ。
だけどすれ違う人がびっくりするほど綺麗だった」
聞こえていなかっただけではなく、見えてもいなかったなんて。
いいえ、もしかしたら、聞こうともせず、見ようともしていなかったのが
私の姿だったのかもしれない。
「ごめんなさい。本当にごめんなさい」
涙が後から後からあふれます。
「もういいよ。ほら、神様がお待ちかねだ」
ふたりは初めてしっかりと見つめあい
手をとりあって天国の門をくぐりました…とさ。
おしまい
… … … … …
肉体を脱ぎ、余計なお荷物を捨てると
見えること&聞こえることがあるのかもしれません。
また、前世での思い残しを、次の人生で叶えるという説があり
それはとてもロマンチックなようにも思われます。
でも、肉体は持ったままで、お荷物だけを捨てることもできるはず。
見ていたつもりで、案外見えていなかったものに気づくかもしれませんよ。
せっかく地上に生まれてきて、何十億分の一の確率でめぐり合ったのだから…
この人生でこそ、やってみるべきではないでしょうかガンバ!!
自分と、そして今、目の前にいる人を大切する
ぎこちない時もありますが、私もその練習中です。
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前回より
年老いた私は、冷たいベッドの上で、ひとり息をひきとりました。
男の姿は見えません。
おそらく、こんな私に嫌気がさして、どこかへ行ってしまったのでしょう。
粗末な洋服をひとつひとつ脱ぎ捨てながら、天国に向います。
心も体も軽くなり、地上の煩わしさから解放され
自由の国に行ける喜びにひたっていると…
そこにはあの同居人が待っていました。
「また、あんたなの?」
あきれた声で叫んでしまいました。
「もう、あんたなんか見たくも…」
そこまで言って、彼の顔をよく見ると、
生きていた頃よりずっと明るく若々しいではありませんか。
「ずいぶん待ったよ。淋しい思いをさせてごめんね」
言葉まではっきりとしています。
「なんだ、ちゃんとしゃべれるんじゃない」
すると、ニッコリ笑って彼が言いました。
「下にいた頃、君はちょっと耳が不自由だったから
よく聞き取れなかったんだね」
「えっ!?」
「君はとても苦しそうだった」
彼が上手く話せないとずっと信じていたのに
聞こえていなかったのは私のほうだった…
なんていうことだろう。
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近世のヨーロッパ、私は貧しい女性でした。石造りの橋のすぐ横の、やはり石造りの長屋のようなところに住んでいました。
いつの頃からか一緒に住みだした男は、言葉が不自由でした。ボンヤリとした表情で、何を考えているのか何を言いたいのか分かりません。
その男を見下していながらも、すでに若くなくおまけに道行く人に指差されるほど醜い顔の自分では、それ以上望むべくもありません。
そんな私にも、ただひとつの楽しみがありました。
それは、ある人の様子を遠くからうかがうことでした。
石畳に響く馬車の音と、上品な整髪剤の香りで、その人が来たとわかります。
彼は、あるお店に入り、いつも何冊かの本を買って帰っていきます。字が読めない私にとって、それは大きなあこがれでした。かすかなインクと紙の匂いの向こうに、まだ見ぬ世界が広がっているような気がしたからです。
いつかその人が、私を遠くの美しい国に連れて行ってくれる…わずかな夢の時間でした。
… … … …
ある日、同じ馬車から、鮮やかな色のドレスを着た女性が降りてきました。
華やかな笑い声とバラのような甘い香り。彼の大切な人に違いありません。
私は薄暗い長屋に戻り、同居人をどなりちらして気持ちをごまかしました。男はただモグモグと、よくわからない言葉を繰り返していました。
… … … …
やがて私が死ぬ時がきました。
次回に続く
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