感情を解放する
父が亡くなってからはなるべく実家の母を訪ねるようにしています。庭の掃除や、断捨離や、病院への付き添い…一泊や二泊の滞在はあっという間です。
明日の昼には帰る、という時に「あー明日からまたひとりか。さびしいなぁ」と大きな声で独り言(?)を言われました。作戦とまではいかないのでしょうが、相手の立場より自分の感情を優先する直球ストレートは彼女の得意技。自分にはない技の持ち主には太刀打ちできません。
配偶者を亡くしたばかりの1人暮らしの高齢者だから、あと暫くの辛抱だからと、母の言葉を黙って聞いていると、子供の頃についた小さな傷たちが浮き上がってきていました。たぶんひとつひとつは単なる「言い間違い」とか、「聞き間違い」とか、「すれ違い」とか小さなものなのだろうけど、まだ鎧で防御することを知らなかった無垢なハートにはキツかったのです。
なぜだか分からないけど、今まで上手にまとってきた鎧が、ここにきてスッポリと外れてしまいました。
「私だってさびしかった!」と下手くそながら直球のつもりです。
母の顔の前に大きなクエスチョンマーク「?」がポッコリ浮かんでいます。
『しまった、伝わっていない。』
仕切りなおして、「あなたの娘で私はずっとさびしかった!」「私がさびしいと言ったとしても、お母さんは聞いてくれなかったやろ」
「だって、あの頃は忙し…」
予測していた言い訳を途中で遮り、「いつもいつも、忙しい、忙しいって!」
そして最後のとどめは「お弁当もろくに作ってくれなかった」
孫もいて正真正銘のおばあちゃんの私なのに、相手は1人暮らしの高齢者なのに、私は小さな子供に戻っていました。さびしいと感じてはいけない、~~をしてほしいと言ってはいけない、言っても聞いてもらえない…ずっと大切にしまっていた感情の、「解放」と言えばかっこいいのですが、もはや「爆発」でした
夜のヒーリングもせずにそのまま二階にあがりました。 やけに濃度の薄い涙が星飛馬のナイアガラ涙(T_T)のように流れたあと、不思議なくらいに心が穏やかになっていました。その次に猛烈に眠くなり、あっという間に爆睡--翌朝の目覚めはとても心地よい物でした。
帰る前にヒーリングしていると、「昨夜はよく眠れなかった。昔のこと思い出したり…。ごめんね、色々思い出させて…」と母。私の下手くそな直球でも、なんとか受け止めてくれたようです。
玄関でハグをして別れる時「あの頃、夢中だったの。子供を一人前にするために」 とダメ押しの言い訳。でも自分の心が晴れ晴れしているので、それは許せました。
…が、「頑張ったのよ、お父さんとふたりで」って、おい!「お父さんの給料が安いから、私が働かないと食べていけない」ってのが口癖だったよね、確か!いつの間に、「ふたりで手を合わせて歩んできた」に記憶をすり替えたんだ!!
この速攻ポジティブ変化球も、昔から彼女の得意技だったのです。そして私にはやっぱり太刀打ちできない大技なのでした。心が晴れ晴れしていたので、これも簡単に許せました。
更に不思議なことに、夫に対するわだかまりもずいぶん緩くなっていることに後日気がついたのです。感情の解放(爆発?)恐るべし
↑今回も数袋の古い服を処分。物も感情も不要なものは外に出たがっています。埃だらけなのに、しっかり握りしめて自分を息苦しくしていたのは自分です。
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