「ほどよく距離を置きなさい」湯川久子
90歳の女性弁護士が綴ったもので、示唆に富んだ言葉が読みやすい文体で書かれているので、すんなりと心に入ってきます。
相手(特に近しい人)や当面の悩みや問題と「ほどよく距離を置く」ことで、もつれた糸がゆるみ、やがてほどけるように、前向きな方向に物事が進んでいくというのです。
著者は弁護士でありながら
「私は、家族や人間関係において法律は、誰かを裁くためにあるのではないと思っています。」
と言っています。
「人間関係の問題を抱えている時、人は、自分の正しさを主張して、相手に勝とうとしますが、相手を打ち負かしたところで、何になるでしょうか。(中略)相手を打ち負かそうとするのではなく、心をほどいて、自分が幸せになるための選択をしてほしいと思います。」
感情を素直に表現するのと、思った言葉をそのままぶつけるのとは違います。(ああ、耳が痛い)
「言葉は、誰かを励まし勇気づけることがあると同時に、心のもつれをほどくことなく、立ち切ってしまう「言葉の刃」となってしまうことがあります。特に夫婦間での言葉は、《言刃(ことば)》になり、それが直接的な離婚の引き金になるケースが後を絶ちません。」
「その裏には「わかってほしい」「自分を大切にしてほしい」という思いが隠れていることもあるでしょう。しかし、《言刃》は、からまった二本の意図をぶった切ってしまう「刃」です。」
かといって、言いたいことを言わずにこらえなさい、ということではありません。
「人は、一番の本音を言わず、二番目を言う。」
一番の本音が拒絶されるのは怖いものです。私たちはその恐怖からの逃げ道を用意しておくために、小出しにしたり、相手をコントロールしたりします。怖い思いをせずに一番の本音が叶うように仕向けるのです。(思い当たる、思い当たり過ぎる) でも、これで本当の思いが相手に通じることはありません。(経験済み)
そんな遠回りをするよりも、自分の本音は何なのかを確認して、言葉を選びながら伝える練習をしなくちゃね。(頑張れ、私)
さて、この本は偶然に、もう一冊別の本への興味も引き出してくれました。ただ今図書館に予約中です。その話はまた後日にします
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