「二老人」トルストイ
あすなろ書房のトルストイの散歩道の一冊。
一緒に巡礼の旅に出発した二人の老人。ひとりは目的通り、聖地といわれる場所をつぶさに訪れて帰宅します。
もうひとりは途中たまたま立ち寄った、飢えに苦しむ一家の為に、お金と時間を使ってしまいます。
このままでは旅の目的を果たせなくなる、せっかく家族がお金を出し合い、留守中の仕事を分担し、自分を旅に出してくれたのに…と迷いながらも
「よし、明日、畑も草場も買い戻してやろう。それから馬も買い、新麦ができるまでの麦粉も買い、牝牛も子どもたちに買ってやろう。でなきゃあ、わざわざ海を渡ってキリスト様をさがしに行っても、自分の中のキリスト様を失うことになる。」
と決心した彼は、この貧しい一家のために様々なものを買い、巡礼を諦め、名前も告げずに家路につきます。
どこか遠くへ行かなくては神様に会えない、凄いものを身に付け、偉い先生に教えを乞い、自分も偉くならなくてはいけないと思い込んでいる人がいます。
大丈夫です、キリスト様だか、神様だか、何と呼ぼうと構いませんが、そうしたものはすぐそこ、自分の中にあります。「自分の中のキリスト様を失わない」と決意し実行すれば、必ず私たちの中にある崇高な存在が、私たちを応援してくれますから。
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